画像診断科からのお知らせ
2020.08.03
こんにちは。
京都動物医療センター 画像診断科の山城です。
本日はCT検査の適応例について、ご紹介させていただきます。
患者様は14歳、雄(去勢済)のミニチュア・シュナウザーさんで、以下のような経過で当院にてCT検査を実施しました。
・4日前(第1病日)に急性嘔吐と腹鳴を呈し、主治医様にて治療開始。
・第2病日に黄疸を認め、腹部超音波検査で総胆管の一部が拡張も十二指腸乳頭付近での拡張は認めず。
レントゲン検査・超音波検査いずれにおいても胆石を疑う病変を認めず。
・第4病日、総胆管閉塞の原因探索のため、当院にてCT検査。
<CT検査結果>
胆嚢および総胆管内に胆泥や胆石と考えられる高吸収病変を認めましたが、総胆管内の病変より十二指腸側の総胆管も拡張しており、この病変による総胆管閉塞とは考えられませんでした。
また明らかな新生物や総胆管外からの圧迫、膵炎、腹膜炎、総胆管の狭窄などを疑う異常も認められませんでした。
以上より、肝外胆道閉塞の原因として、胆嚢・総胆管の炎症などが疑われました。
<コメント>
肝外胆道閉塞の画像診断に関しては、第一に超音波検査が挙げられますが、患者さんの
体型や腹痛などにより、十分な評価を行えないことも多いと思います。
鎮静下での超音波検査も選択肢の一つではありますが、CT検査は診断だけでなく、手術支援も兼ねたより詳細な画像データの収集も可能であり、特に外科的介入を検討する場合には、非常に頼もしい検査と考えられす。
Curved MPRを用いることで、蛇行した総胆管の全体像を描出することが可能ですし、
当院で使用しているCTスキャナ、Aquilion Lightning(キヤノンメディカルシステムズ)に搭載されている、造影前後のデータを高精度に差分するSURE Subtraction Iodine Mappingを用いれば、胆嚢のような薄い臓器の造影増強効果を明瞭に確認でき、虚血領域の有無の評価も容易となります。
本患者様では結果として早急な外科的介入は不要との判断となりましたが、CT検査は非常に有用であったと思われました。
京都動物医療センター
画像診断科
山城 徳之