2020.07.30
こんにちは、
京都動物医療センター 獣医師の中森です。
本日は総合診療科の紹介をさせていただきます。
総合診療科では一般内科、一般外科を中心とした、全身を広く診るための科です。
各専門診療科への窓口にもなりますので、どの診療科を受診すればいいのかわからない、専門診療科を受診するべき状態なのかわからない、などお困りの際はまずは総合診療科を受診してください。
先日、当センターに『慢性嘔吐』を主訴にご紹介をいただきましたので、診療内容についてご報告させていただきます。
【症例情報】
猫種:MIX
年齢:5歳
性別:避妊雌
主訴:3ヶ月前より嘔吐。体重減少。
【検査】
身体検査:体重3.05 kg、BCS4/9
血液検査:特筆すべき異常なし
X線検査:特筆すべき異常なし
超音波検査:軽度の腹水貯留。胃の大弯に一部5層構造消失し、粘膜の肥厚を認める。
消化管内視鏡検査:胃の大弯部に潰瘍状の腫瘤を認める。
また同時に内視鏡生検およびクローナリティ解析を実施。
【診断名】
胃リンパ腫
【コメント】
猫の胃に発生する消化器型リンパ腫の多くはB細胞由来とされており、今回のクローナリティ解析でもBリンパ球のモノクローナルな増殖と診断されました。
ご紹介いただいたかかりつけ病院の獣医医に、積極的な抗癌剤治療を推奨してお返ししております。
当院は、飼い主様およびかかりつけ病院の獣医師方のご希望に沿えるよう、最新鋭の設備を整えております。病気と闘うには、まず相手を知ることが重要となりますし、そのために検査は必要不可欠なものです。今回の症例は無事にかかりつけ動物病院にお返しすることができましたが、ここでの診察の結果何か特定の病気が疑われた場合は、先生方のご希望があれば、それぞれの専門科に紹介し、診断・治療を行うこともあります。
「食欲が無い」という症状一つとってみても、考えられる原因は様々ですので、その診断には一つの科にとらわれない総合的な診断力が必要になります。そのため、当院の総合診療科は、豊富な診療経験を持つ獣医師が診察にあたっております。
総合診療科は全ての診療日で開設しておりますので、何かあればまずはお気軽にご相談ください。
京都動物医療センター
獣医師 中森正也